ブログ

本日、ワンハンドピアノスコア から、私の左手の為のピアノ小品《十六夜》が刊行されました。
同時に、左手のアーカイブでは早坂眞子さんによる演奏映像も公開されました。

平安時代に編纂された『古今和歌集』に、
「君や来む われや行かむの いさよいに 真木の板戸も ささず寝にけり」
(あなたが来るかしら、それとも私が行こうかしら……とぐずぐずしているうちに、 十六夜の月が見えてきて、私は寝床の扉も閉めずに寝てしまったのよ。)とあるように、古来より月は万人に眺められ、人々の心に光を投げかけてきました。

「十六夜」は中秋の名月の翌日、陰暦八月十六日の夜の月。
満月よりも月の出が50分ほど遅れることから、当時の人々は十五夜に遠慮して躊躇っていると見立て、「いざよう」(躊躇う)という動詞から月を「いざよい」と名付けました。
なんと美しく趣ある言葉でしょう。

また十六夜は、望月(満月)を過ぎたという意味から「既望(希望)」とも言われます。
私の《十六夜》には、そんな日本ならではの慎ましやかな中にも、たくさんの人々の「希望」を織り込みたいと作曲しました。
願いが届きますように……。

動画:https://youtu.be/60oCDVlA6Zs

楽譜:https://is.gd/81iCSd